2014 東京都足立区 店舗内装 設計監理
カフェをつくりたいので設計してほしいというお施主さんはコンピュータープログラマーで、自転車や家具を自分でつくるくらいのもの作りが好きなMAKERな人でした。カフェには3Dプリンターを置いたり、プログラムの勉強ができたりと、ただコーヒーを飲むだけのカフェとは違ったものにしたいとのこと。
また、以前から自分で設計してレイアウトはかなり決まっていました。家具もいくつか購入済みで内装工事の見積をとっていたけど、金額も合わないので、内装の材料やレイアウトについての専門的なアドバイスが欲しいとのこと。
ではどんな設計をすべきなのか?
建築設計について、特にデザインについて自分で出来てしまうという人はいると思っています。センスのよい人や空間的なイメージ能力がある人は結構いますし、雑誌などで建築の情報がオープンになってきた為か、材料についてもいろいろと知識をもった方もいます。
今回のお施主さんもほとんど自分でできるかも!?と思えるほど、知識も情熱もある方でしたが、要望を聞いて素材や設備をセレクトすればよいか?というと、それだけではないような気がしました。
口にはださないけど、求められているものは”表面的なデザインではないもの”ではないか?と思いました。
「つくる」ということをテーマにしたカフェであれば、継続的につくり続けることが出来る楽しいカフェにしたいと思いました。また、コーヒーをおいしくゆっくり飲めるということ以外に、ここでなにか「できる」という余地を残しながらも居心地のよい空間ができないかなと考えました。
そこでお施主さんのイメージを一度0にもどし、最初から何が必要なのか?ということを問い直すような打合せを繰り返しました。積み上げるのではなく、削ぎ落として必要なものを拾い出していくような設計作業です。
結果、飲食店というよりも町のハブ的居場所としてのカフェ。建築的には未完成なこと。使いながら作り続ける空間をつくることになりました。ですので、最初の工事もできるだけセルフビルドを意識しました。
工事に関しては工務店にベースとなる間仕切りや水道、電気工事はしてもらうものの、大工工事は山形から友人の口琴作家!!の山ちゃんに登場してもらい、お施主さんとセルフビルドでつくってもらいました。
エントランスの木製ドアの取手とテーブルの脚は、スチールワークを得意とするランドスケープアーキテクトの村瀬くんによるもの。
天井に12カ所も埋込んだ自作スピーカーと、アルミ削り出しのスイッチをつくってくれたのはマルチなニートの永瀬さん。
できたプランはとてもシンプルで、がらんとしていて現在進行形のような空間ですが、そこかしこに味のある楽しげな空間になっています。
これから様々なイベントや勉強会を介して、東京、小台の町を盛り上げていこうと 計画されています。
お店のHPはこちら↓自家焙煎のおいしい珈琲もお勧めです。