武蔵野の民家を見てきました。
東京都小平市柳窪にある民家と言っても肥料問屋の豪農の家です。武蔵野一体でも実際につかわれている茅葺き屋根、屋敷林の残る風景は希少なのだそうです。
全体の写真がないのでわからないと思いますが屋敷林がとてもリッチ。5000坪の敷地だそうで湧き水や茶畑、離れ、土蔵などが敷地内にあります。普段設計している敷地の感覚とはまったく異なる次元の空間が広がっていますが、樹木と建築の関係、建築の内部と外部の関係、古い台所と周辺環境との関係など、現在の暮らしにつながるヒントはいっぱいあるように思えました。お茶や栗や柿の他、食べられる植物もいろいろ育てながら森を管理していっています。
これは金蔵だそうです。土壁の中に鉄筋が入っていて一揆で襲われた際にも無事だったとか。蔵はどれを見てもプロポーションが美しいです。
主屋の台所。かまどは残っておらず、お勝手には新しい流し台セットがつけてありましたが、かまどがあった場所には昔からの神棚がありました。人間の生活のなかにある「火」という自然をコントロールするための祈りの場所。
味噌部屋という羨ましい空間。今は味噌はおいてないカラリとした場所になってましたが、家の中に発酵と保存をする醸成空間がありました。ここで外の畑で作られた大豆をかまどで蒸してつぶして、味噌にしたのです。土間になっているのは加工するために必要な条件でした。
現代生活に農と自然をうまく取り入れていく住宅の設計ができないものかと考えています。