配筋検査

基礎の配筋検査を行いました。

検査は構造設計者とともにひとつひとつ点検し、図面通りに組まれているかチェックします。

鉄筋の種類、寸法、ピッチ、重なりの長さ(定着長さ)、型枠との離れ寸法(かぶり)、清掃状況・・・

複雑な設計図を現場の職人が読み取って組み立てます。

検査は合格し、型枠にコンクリートが流し込まれます。何日か養生期間をおいて型枠を外すとプリンのように固まった鉄筋コンクリートになるのです。

この技術、実は1867年にフランスの植木鉢を作る職人がモルタルの中に針金を入れたのが始まりとされています。

たかだか145年前のこと。その前は石を積んでいくか、石の上に木の柱を載せるものでした。

鉄筋コンクリートと石の基礎の違いは構造上一体になるか、バラバラにずれるかということで、地震の実験をすると石の場合は柱が上下左右にずれて建物が壊れます。確かに鉄筋コンクリートの基礎の方が強いです。

 

 

でもなんか気になる石の基礎。

今、京都で設計している町家は築年数不明、およそ100年前の建物で、基礎は石が使われてます。改修のため既存の床下をのぞくと、何度も補強をしながら暮らしてきたのがわかります。

あるべきところに柱がなかったり、こんなもので大丈夫かな?と不安になる構造だったりしますが、なぜか壊れません。いや、M9.0の直下型地震があればこわれるのかもしれないですが、阪神大震災も経験し、京都も地震がない訳ではないのですが、倒壊したという建物はあまり聞きません。

理由はおそらく、木造建築の複雑な構造にありそうです。町家は特に単体ではなく、隣とつながっているということもありますが、構造計算の根拠になる軸組だけでなく、下地材や仕上げ材までもふくめて力がつながっていくからでしょう。

だんだんと傾いていってもその度に大工さんに床を水平になおしてもらったり、もうコンピューターシュミレーションでも正確な力の流れが把握できなくなっています。

また、傾いたり、こわれたら直すという発想では、頑丈な基礎の建物ってかえってデメリットもあるかもしれません。

地盤が軟弱で基礎自体が沈んでしまったり傾いてしまった場合、頑丈な基礎は補修が大変です。

それに比べ、石の上の柱がずれたり、傾いても大工がすぐに直せるのはローテクというか歴史の知恵なのかもしれないなと思います。

昔は、村々で「結」という相互扶助の組合があり、家の壊れたところや増築にもいつでも柔軟に対応できる社会がありました。

絶対にこわれないものなどないのです。

ものは壊れる、その度に補修や復旧をして生き続けるものなのではないのでしょうか?

地震国である日本における、地域や経済もふくめたこれからの「技術」ってなんでしょうか?

 

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