あのヴィム・ヴェンダースが福島にきた!
新作PINAの上映と舞台挨拶のため、被災地福島に立ち寄ってくれることになったのです。僕の最も好きな映画監督で、さらに大好きなピナ・バウシュのドキュメンタリーで、さらにさらに福島市ということは絶対に行くしかありません。とはいえ抽選でしたが、当たったので急遽高速バスにのって福島に行ってきました。
映画はすごく良かったです。3Dということもありますが、ピナ・バウシュのダンスをすぐそばで見ている感覚になります。10年ほど前に劇場で見たときのゾクゾクする感動と同じくらいか、それ以上のリアリティがありました。匂いまで感じられるくらいです。
そしてヴェンダースの舞台挨拶は感動的でした。最後にヴェンダースが言った「私はこれまで自分の目や耳などの五感を信じて映画を作ってきた。しかし今日、上映前に飯館村に行ってきて夕暮れの風景を見て、とても美しい、天国のようだと感じました。まだそのことをどのように捉えたらいいのかわからないのです。どう考えればよいのかどなたか教えてほしい」という質問には作家としての素直で鋭い感性がありました。まったくその通りなのです。何一つ、これっぽっちも放射能を感じることができないのです。秋晴れの福島はいま最高にきれいです。人間としての感覚を超えた事象について、どう考えて、どう伝えてれば良いのでしょう。