おうち「を」工作する、これからの家づくり
おうち工作宣言
家づくりは消費ではなく、楽しみ。
私たちはもっと自由に楽しく、こんな家をつくります。
1 勇気が出る家
2 平和になる家
3 自由を思い出す家
4 いつも、いつまでも新しい家
5 自分のからだの延長のような家
6 消費でも商品でもない家
7 つくる喜びと遊びでできた家
8 巣づくりのように、自分にぴったり合う、自分らしい場所を
家づくりは楽しい

おうち工作社 丹治健太 インタビュー
おうち工作をはじめた理由はなんですか?
丹治:僕は料理が大好きで、味噌やアンチョビ、燻製、うどんやラーメンなんかも自分でつくります。買うよりも美味しいし、安いし、自分の好みのものにしていくことができたり、とにかく楽しいんです。 料理や食べ物だけでなく、服や竹のカゴ、子どものおもちゃなんかも、けっこう自分でつくります。 自分で手を動かしてなにかをつくることは楽しい。実際にやってみると、それほど特別な技術が必要なわけではないし、だれにでもできるはずです。あとは、友だちも増えます(笑)。
でも家づくりとなるとさすがにちょっと難しいのでは、という印象があります。
丹治:そう思ってる方が多いんですが、実際はそうでもないんです。 家を作っている現場をよくみると、土を掘ったり、木を切ったり張ったり、雨をよけるために焼いた瓦を並べたり、ペンキを塗ったりと、簡単な作業の積み重ねで大きくなっているだけで、一つ一つの技術は誰でもできることを、どこにでもある材料を組み合わせて作っていることがわかります。 自分で作るものとして、家はいろいろなことができてとても面白いものです。 素人が専門家や職人と同じことをやるのではなく、素人だからこそできる楽しい家を、つくることができると思っていて、それがおうち工作として、これからやっていきたいことです。 例えば、「家のこの壁に棚があったらいいな」というとき、多くの人が、ネットで商品を検索して、サイズもだいたい合ってるものを見つけて、それをポチっと買う、という世の中になっているように思います。
プロジェクトの取り組み
「おうち工作」は、3つの活動で楽しい家づくりを広げていきます
①つくる
つくるワークショップ。本棚や飾り棚、ドアノブ、つまみ、机、椅子、壁など、家を構成するいろいろなモノをつくります。
②建てる
自分(たち)で家を建てる、に伴走します。家の診断や相談、プランニングを通して、設計や工事に参加できる家づくりを。
③研究する
価値を見直す研究活動。古材、廃材、海に漂着したゴミ、リサイクルショップのガラクタなど を再発見・再利用する研究。
ワークショップvol.01
テーマ:「みつける」
日時:2025年1月20日(月)9:00-12:00 快晴(朝6時まで雨)
場所:西伊豆の集落+海岸
参加人数:9名
おうち工作の本場は、都市ではなく田舎にある
「おうち工作」ワークショップは、都市から離れて西伊豆の小さな港のある集落の友人、ヨアン・モローさんの家を拠点に行いました。これには理由があります。 「おうち工作」の目指す方向の一つを、彼の家づくりが確実に示してくれているからです。 かつては廃屋同然だったこの家を、2年以上の時間をじっくりとかけて、持ち前のアイディアを技術でコツコツと修理、リメイクをしたヨアンさん。シロアリに食われた柱を修復し、屋根を吹き替え、放置され汚れていた部分をきれいに掃除し続け、壁を塗り直し…といった気の遠くなるような作業をゆっくりと続けて、温かみのある木の質感と、思わず目を引く独創的な仕掛けや装飾が調和した魅力的なゲストハウスへに生まれ変わりました。 ヨアンさんが、効率やコスパ、タイパを考えていたら、こんな家づくりはしないでしょう。ではなんのために? 「おうち工作」のもっとも大事な”心”を確認するために、この場所ではじまりのワークショップを行いました。
「おうち工作ワークショップ@西伊豆」をふりかえる(丹治健太 ✕ 親泊真角)
丹治:「おうち工作」のスタートは、西伊豆ではじめたかった、という思いがありました。ヨアンさんの家づくりもそうだし、親泊さんが運営している小さな港町の集落にある西風荘も、「おうち工作」のインスピレーションのひとつだったからです。西伊豆で、家や暮らしの古いかたちと未来をイメージできたことは、僕にとって大きかった。
親泊さん:そうなんですね。だからかもしれませんが、「おうち工作がやろうとしていることは頭で理解している」と思っていました。でも、実際にワークショップに参加してみて、いろいろなことが腑に落ちました。 「海でモノを拾ってくっつける」というだけで、ものごとの意味が変わることを実感できました。
僕は、海でモノを拾ってくるようなことはあまりしていません。というのも、拾わなくてもモノがたくさん集まってしまうからです。僕やヨアンさんは、地元の人たちから、「モノをもらってくれる人」だと思われているみたいで、いろいろな方が「これ使わない?」といろいろなモノを持ってきてくれるんです(笑)。 家の周りに置く場所もけっこうあるので、なにかに使えるんじゃないか、と思っていろいろなモノを溜め込んでいます。
ちょっと多くなりすぎて、最近は「モノを持たない」「モノを減らす」というのがテーマだったり。モノがあんまりたくさんあると、滞っているというか、新しいモノが入ってこない、余白が無いなと感じていて、最近は一生懸命捨てたり燃やしたりしています。
でも今回のワークショップでは、視点を変えることで新しい価値が生まれるということに気づかされました。